おいかわさん

入院中、おなじ病室に「おいかわさん」というおばあさんがいた。

おいかわさんは、身長が170センチくらいあって、すらりとしている。やわらかい雰囲気のある人で、私のことを「かおりん」と呼ぶのがとても可愛かった。(だんなさまもひげが似合う渋くてすてきな人だった!)
趣味で俳句をやっていて、その先生がお見舞いにきてくれた時にとても緊張していたようで、いつもよりおしゃべりになっていた。帰ったあと、「先生がお直しの赤ペンを入れてくれるのだけど、男の目線での赤ペンを入れられるとむっとしちゃう、女子の感覚がわかってないのよう」と楽しそうに話してくれた。
最後の日にあるスケッチブックを見せてくれて、その中には病院生活で触れたものの絵が書いてあった。病室から見える景色や、お見舞いにもらったお花や果物、お世話になった車イス…。それはとても色鮮やかであたたかみがあってほんとうに素敵だった。
私は今でも時々おいかわさんを思い出す。私もおいかわさんのようなおばあさんになりたい。


おいかわさんからおすそわけしてもらったもの:金柑、苺、うさぎやのお菓子、ココナッツクッキー